hiveのクリエイターと新会社を設立!
グループ会社「Unplug」とは?
Unplugを立ち上げた経緯
そもそもモーショングラフィックスや3DCG、キャラクター領域の案件は多かった
株式会社Unplug代表の中川です。僕は2022年からNo.0の取締役としてジョインして、2023年7月にグループ会社であるUnplugを設立し、代表として現在活動をしています。
Unplugは、モーショングラフィックス、3DCG、キャラクターデザインの3つを専門に制作を行う会社になります。なぜNo.0としてではなく、あえて専門領域だけを切り出して会社を立ち上げたのかというと、そもそもNo.0としてモーショングラフィックス、3DCG、キャラクター領域の案件相談がとても多かったことが理由のひとつです。また、専門に特化したほうがクライアントにも認知されやすく、営業がしやすいという理由もありました。さらに、モーショングラフィックスや3DCGは撮影案件ではないため、制作の場所を問わないイラストやグラフィックデザインが主軸になります。イラストやグラフィックは日本のクリエイティブとして世界的に認知されていて、外部的な要因として円安が重なっていることもあり、国内だけでなく海外の案件にも挑戦できるのではないか…など、複数の理由が重なってUnplugの立ち上げに至りました。
ショート動画制作サービス「秒でモーション」のローンチ
クライアントとクリエイターの双方の要望を成立させるショート動画制作サービス
「秒でモーション」は、モーショングラフィックスに特化したショート動画制作サービスです。短尺動画のため長尺と比較して制作期間や費用を抑えられる点、短尺のアニメーション表現にすることでインパクトやオリジナリティを保ったまま訴求ができる点を強みとしています。
サービス立ち上げのきっかけは、クライアントやメンバーとのディスカッションでした。クライアントからは「モーショングラフィックスやアニメーションを作りたいけど、予算的に難しい」、hiveのアニメーターからは「長尺のアニメーションを制作すると時間やコストが勝ってしまい、作品を増やせない」という相談をそれぞれ受けていたんです。どんなサービスなら双方の意見が成立するのかを考えた結果、このサービス内容に行き着きました。
ショート動画であれば、ある程度多くの案件をいただいても制作体制を整えやすいというメリットもあります。たとえば、15秒のプロモーション動画であれば、訴求する内容や構成自体の大枠は共通しており、フォーマットに沿ってサービスの特徴や伝えたい内容を、企業に合わせて整えていくことで効率的に構成を練ることができます。
Unplugの未来
hiveを含む日本のクリエイターが海外案件をこなせるプロジェクトを作りたい
今後チャレンジしていきたいのは、クリエイターがUnplugと連携することによって、表現の幅を広げられるきっかけをつくることですね。たとえば、イラストレーターの方がhiveのモーショングラフィックスメンバーと組むことで、「自分のイラストが動くところを初めて見ることができて感動した」ということがありました。そういう場面をもっと創出できる会社でありたいと思っています。
また、プランニングできるメンバーが多い会社なので、もっと企画の上流部分から入って、いろんなメンバー同士が混ざり合い、僕らとしてもクリエイターとしても面白いと思えるプロジェクトを作っていきたいと思っています。
そして、Unplugとしてもオリジナル作品を制作したいと考えています。海外の人にも存在を知ってもらい、hiveを含む日本のクリエイターが海外案件をどんどん引き受けていけるようなプロジェクトを作っていきたいですね。
オリジナルドキュメンタリー映画制作の舞台裏
<スタッフ>
監督・撮影・編集:長谷川友美
音楽:イアン ハートリー
プロデューサー:大野裕子、大野康介
企画:株式会社No.0
制作:Hive Film Studio
配給:one’s
2023年 / 日本/カラー/103分
©2023 No.0, Inc All Rights Reserved
作品テーマとの出会い
危機的な状況にある事実を映画の力でより多くの人に広めていきたい
オリジナルドキュメンタリー映画『ここにいる、生きている。〜消えゆく海藻の森に導かれて〜』は、地球規模で急速に進行しつつある気候変動に対し、いまを生きる私たちがどうアクションしていくべきなのかを問う長編です。監督・撮影・編集は、映像作家/映画監督の長谷川友美さんが務めています。
作品制作のきっかけは、「hiveでなにかオリジナルの映画作品をつくりたい」と考えていた2021年に、知人から「日本の海岸や磯からワカメや昆布などの海藻がものすごい勢いでなくなっていて、沿岸地域が増えている」という話を偶然耳にしたことでした。
海藻って海に潜る人でなければ当然見えないじゃないですか。人は目に見えないもののイメージは湧かないし、関心を持てないと思っていたので、私はその話を聞いて「海藻をテーマに映像化する意味が非常にある」「海藻がなくなること自体かなり危機的な状況にあるという事実を、映画の力で多くの人に広めたい」と考えました。そうして、「海藻や環境問題、気候変動などをテーマにドキュメンタリー映画を作ろう」と思い至り、同年に長谷川監督とお会いして映画制作を依頼したところ、快く引き受けてくださったという経緯があります。
日本全国を飛び回る
監督がカメラを持って北海道から沖縄まで
2022年は長谷川監督に、北は北海道、南は沖縄まで、日本全国を飛び回っていただきました。恐縮ながら予算も限られていたため、監督がカメラをひとりで持っていろんなところへ取材・撮影に行ったり、インタビューをしたりと、本当にバイタリティあふれる素晴らしい動きをしてくれました。
上映機会の創出
来年春に東京で劇場公開予定
2024年に映画が完成し、現在コミュニティパートナー企業(one’s社)とともに上映機会の創出に向けて動いています。今年のゴールデンウィークに、神奈川県逗子で毎年開催されている「逗子海岸映画祭」にて上映の機会をいただき、23分のハイライト版上映とトークセッションを行いました。当日は立ち見も出るぐらい多くの方に見ていただき、反響も良かったと感じています。これにより、逗子の学童クラブや小学校でも今後試写会を開催することになりました。また、逗子の地元情報誌への掲載やメディアでの放送などもされ、文部科学省の選定作品にも選ばれたため、これを機により多くの人たちへこの作品を広げていければと考えています。2025年初春に東京で劇場公開の予定ですので、公開された暁には、ぜひ見ていただければと思います。
自主制作で作品をつくる3つの意味
❶ 自由な創作活動によるコミュニティの活性化
自分たちで自由にテーマを決めたりメンバーを巻き込んでいくことができる
hiveが受注案件だけでなく自主制作にこだわるのは、自由な創作活動によるコミュニティーの活性化が大きな理由です。自主制作の場合、自分たちで自由にテーマを決め、さまざまなメンバーを巻き込むことができます。
先の映画で言えば、ポスターのデザインや制作スタジオのロゴ、映画と連動した「海の森をつなぐ」というCSR(企業の社会的責任の活動)プロジェクトのキーイラストを描いてもらったりと、hiveのあらゆるメンバーを巻き込んでいます。また、制作の進捗をSlackなどで随時共有することで、作品に関わっていないメンバーもその都度リアクションをくれたりと、コミュニケーションも発生しています。つまり、自主制作はコミュニティを活性化させるうえで非常に大きな役割を担っていると言えるんです。
❷ 共感を生むhiveのブランドづくり
共感を生むブランドづくりはクリエイターの集め方が重要なポイント
hiveのビジネスモデルは、まずクライアントとなる発注企業から映像制作の依頼やクリエイターのチームづくりの相談をもらいます。その後、hiveのクリエイターと連携して制作物を納品する、もしくはクリエイターを紹介することでクライアントに価値を提供しています。それに対し、クライアントから対価をいただき、hiveからクリエイターに報酬を支払うというビジネスモデルになります。このビジネスで収益を上げるには、いかに優秀なクリエイターに参加してもらえるかが大切です。優秀なクリエイターの数が多ければ多いほど、発注企業に対してより多くの価値を提供でき、収益の向上・安定につながります。
hiveのビジネスモデル
私はhiveをつくる前にも同様のビジネスモデルを立ち上げた経験があったため、hiveではその際の経験を踏まえて改善を施しています。以前のビジネスでは、クリエイターを集めるために有料広告を出稿していました。短期間で多くのクリエイターが登録してくれたんですが、広告出稿に費用を割いた分、サービス本体に投資があまりできませんでした。それにより、コンテンツに対する共感や魅力不足に陥ってしまい、せっかく登録してくれたクリエイターとの関係性が希薄になってしまったんです。そして、サービスから離脱する方が少しずつ増え、人材確保のためにまた広告を出す…という悪いスパイラルに入ってしまったんですね。結果、資本力のある他社に模倣されて、競争優位性を失うといった経験をしました。
そうした過去の失敗を踏まえ、hiveでは有料広告の出稿ではなく作品づくりに資金を投じ続けました。短期間でクリエイターが増えない代わりに、作品づくりを通してすでに所属しているメンバーとの関係性が深まるなど、コミュニティ独自の文化や価値観が醸成され、いまでは他社からも真似しづらい状況になりつつあると思います。また、クリエイター側から「hiveに参加したい」という流れができ始めて、まったく広告費をかけることなく優秀なクリエイターを集めることができている状態になっていて、収益が安定することで資産となる作品づくりに投資ができる…という好循環を作ることができています。
有料広告を出稿してクリエイター集客
作品・サービスにこそお金をかける
❸ 収益分配される仕組みづくりへの挑戦
監督やクリエイターにお金が落ちない構造をhiveの仕組みで変えていきたい
従来の映画制作などにおいての製作委員会モデルは、多数の企業が出資してくれる反面、クリエイティブ面での制約や決定の遅延が発生するなど、さまざまな課題があります。また、利益配分の不透明さにより監督やクリエイターに収益がもたらされない構造になっているという大きな問題も抱えています。
hiveではそういった部分を改善するために、まず「マイクロチーム」の編成が必要だと考えています。制作費が500万円か1億円かによって回収できる金額も大きく変わってくるため、いかに少数精鋭のチームでコストを抑え、質の高い作品を作れるかが鍵になると思っています。
同時に、より多くの人が応援してくれ、共感してくれるような「作品のテーマ」を見つけることも重要です。
そして、出資企業に対して「作品報酬に変わる対価の提供」ができればと考えています。たとえば、先の映画と連動した「海の森をつなぐ」プロジェクトは、次世代の子どもたちに「海の命を育む森」と呼ばれる海藻を手渡し、海藻を守る活動や海と人とがつながるきっかけになるCSR活動を目的としています。つまり、この映画の出資企業は作品を通してCSR活動にも間接的に関わることができて、自社の採用活動やブランディングなどに活かすことが可能になります。昨今では、企業がCSR活動を問われる時代になってきているので、この部分が出資のリターンに変わる対価の提供になるのではないかと考えています。
hiveではこういった仕組みによって、本来、出資企業に配分される収益を監督やクリエイターに還元し、自由度の高いクリエイティブを実現できればと考えています。
hiveの目指す新たな“つくり方・届け方・稼ぎ方”
“コミュニティパートナー”構想の狙い
優秀なクリエイターとの関係性こそがhiveにとって何よりも大切なアセット
hiveの強みは「優秀なクリエイターとの関係性」であり、それこそがhiveにとって何よりも大切なアセットです。そのアセットがあったからこそ、あらゆる企業の動画・映像制作が可能になり、事業の成長を図ることができました。これまでは、この大切なアセット自体をNo.0とUnplugの2社のみが活用していましたが、2024年からは他の企業にもオープンにする方針に舵を切りました。それが「コミュニティパートナー」の構想になります。
コミュニティパートナーには、WEB制作会社やブランディング支援会社、教育のコンサル会社やイベント会社、さまざまな会社の経営者や決済者の方々を含め40社ほどの企業が参加しています。参加企業についてもクリエイターと同じく完全招待制になっていて、基本的にはhiveのミッションやコンセプトに共感をいただけた企業のみが参加しています。
なぜ大切なアセットを他の企業にオープンにするのか?
協業・共創することでひとりや1社ではたどり着けないところへ行ける
では、なぜ時間をかけて築いてきたアセットを他の企業に無料でオープンにするのかというと、hiveでは「行ったことのないところへ」というミッションを掲げているからです。つまり、仕事を起点として、地域や年齢・性別・所属を超えた“信頼できるつながり”を作り出し、互いに協業・共創することで、ひとりや1社ではたどり着けないところへ行ってみたいというのがミッションなんです。
このミッションを実現するためには、私たちだけでアセットを活用させてもらうよりも、専門性の異なる他の企業がコミュニティに参加したほうが新たな価値や面白いプロジェクトが生まれるんじゃないかな、と。また、クリエイターからしても、あらゆる企業と仕事をしたほうが成長にもつながるし、面白い仕事にも巡り合えると考えて、アセットをオープンにした経緯があります。結果的に、そうしたことで偶発的な仕事や出会いも増えています。
hiveとしての今後の展望
つくるだけではなく社会や世の中に対して作品・サービスを届けて拡げていきたい
hiveでは、ターゲットミッションの他に「クリエイターへの流通総額10億円/年」という定量目標を設定しています。10億円という大きな数字を実現するためには、コミュニティパートナー企業の事業成長を図っていくことに加え、さまざまな新しいサービスや会社を立ち上げ、その中で可能性のあるものに対してしっかりとリソースを集中投下し、その事業を伸ばしていくことが重要なポイントになるのかなと考えています。
そして、クリエイターの個性を活かす形での作品づくりをしながら、上がった収益を参加したクリエイターにしっかりと還元し、作るだけではなく社会や世の中に対して作品・サービスを届けて拡げていければと考えています。
hiveはこれからも参加している素晴らしいクリエイターや企業とともに「行ったことのないところ」を目指して、面白いことをやり続けていきたいと思っています。